ボクはいわゆる「ダメ人間」が好きだ。
なぜかというと僕自身がダメ人間だから。
ホントに辛くて落ち込んだ時、心を癒やしてくれるのは似たようなダメ人間だけだった。
偉大な成功者のメッセージは僕には眩しすぎて直視できない。
ダメ人間が好き
8年ほど前、ボクは「松山ケンイチ」というニコ生配信者が好きだった。
もちろん俳優の彼ではない。彼の名前を無断使用してるだけの一般人だ。
※ニコ生・・・視聴者とリアルタイムでチャットのやり取りをするライブ配信サービス。
「ニコ生の松山ケンイチ」は
- 高校中退
- 当時20代中盤(現在30代前半)
- 友達0
- ニート
- チェホンマン似のルックス
という、経歴だけ見ればダメ人間に分類されるスペックの持ち主である。
だがボクは彼の配信がこの世で一番好きだった。
チェホンマン
彼はそのチェホンマン似のルックスから「チェホンマン」あるいは「チェホ」と呼ばれていた。
本人は自分のことを松山ケンイチだと言い張っていたが、どう見ても似てるのはチェホンマンだ。
彼がどういう配信をしてるかと言われても、特別なことは何もやっていない。
チェホンマン似の男と視聴者がリアルタイムでただ雑談をするだけである。
視聴者の数もそれほど多くないから、コメントをすれば毎回返事が返ってきた。
チェホが他の配信者と違ったのは以下の点だ
- ニートだからいつも配信してる
- 自分の考えを持ってる
- 思ったことをそのまま言う
- 馴れ合いをしない
ニートだからいつも配信してる
チェホンマンの一番の特徴は配信時間がめちゃくちゃ長いことだ。
平日とか休日とか関係なく、どの時間に覗いてもほぼ配信していた。
ニート以外にはマネできない配信スタイルである。
おかげで当時のボクは家族と一緒にいる時間よりも、チェホの顔を見てる時間の方がはるかに長かった。
自分の考えを持っている
チェホは自分の考えをしっかり持っていた。
他の人がどう言ってようが、一般常識がどうだろうが関係ない。
どんなときもチェホなりに筋道立てて考えた持論を話していた。
そりゃさすがにないだろ、という持論もあったが、それでもいつも彼の話には自分の頭でしっかり考えた理屈がある。
どれも聞いていて面白かった。
自分の考えを自分の言葉で喋れる人間がボクは大好きだ。
思ったことをそのまま言う
チェホは忖度(そんたく)というものをほとんどしなかった。
普通なら心のなかに収めておくような内容も、ありのまま口にする。
自分の弱いところも、賛否が激しく分かれそうな意見も、すべてアケスケに語っていた。
そんな良くも悪くもむき出しの本音をさらけ出す姿勢に、ボクはかつてないほどの親近感と安心感を抱いた。
他人を一切信用しないボクが、生涯で一番心を許した人間が彼かもしれない。
ぼくはチェホの配信を誰よりも多く見て、誰よりも多くコメントした。
彼の配信は人気がなかったため、コメントをすれば必ず返事が返ってくる。
チャット上でのやり取りしかないにも関わらず、初めて親友ができたかのような感情さえ覚えた。
馴れ合いをしない
彼は馴れ合いをしなかった。
彼が配信していたニコ生では、通常「コテハン」と呼ばれるニックネームをリスナーが持ち、コテハンを持つリスナーと配信者で内輪話をしてる放送が多かった。
そういった放送は匿名の新規リスナーには参加しづらい雰囲気がある。
しかしチェホは違った。
自らの配信ではコテハン登録システムを廃止し、リスナー全てが匿名という平等な条件で放送し続けた。
その結果、新規リスナーがコメントしやすいのはもちろん、ウケを狙ったコメントをして盛大に滑ろうが、やらかし発言をしてしまおうが、何食わぬ顔で参加し続けることができた。
配信者のチェホンマンだけでなく、リスナーも本音で話すことが出来たのだ。
ダメ人間にボクは救われた
高校中退・20代後半・ニート・一日中寝っ転がってライブ配信。
世間一般の常識で見たらダメ人間かもしれない。
でもボクはそんなチェホンマンに救われた。
どんな成功者の素晴らしい言葉よりも、チェホンマンが寝っ転がって雑談してるだけの配信のほうが、1000倍心を癒やしてくれる。
自分と似たようなボロボロの経歴の人間がいる
経歴はダメでも、人間としては今まで出会った誰よりも面白い
そんな人間と本音をさらけ出して話し合える
それだけで、ずっと孤独だったボクの心は救われた。
どん底にいる人間を救ってくれるのは、はるか上にいる成功者の言葉ではなく、同じようにどん底にいる人間だけだ。
ボクはそう思った。
彼がいなければボクはもっと自分が嫌いだった。
今のように自分のコンプレックスをさらけ出すことも出来なかったと思う。
松山ケンイチという名のチェホンマンに出会ったことで
「自分みたいなダメ人間でも生きてていいんだ」
「コンプレックスをさらけ出すことで救われる人もいるんだ」
そう思えるようになった。
社会から見たらダメ人間の彼でも、ボクからしたら辛い時に心を癒やしてくれた最高のヒーローだ。
追伸
たとえ99%の人間に馬鹿にされようとも、同じ悩みを持つ人間が少しでも楽になれば、それはとても価値のあることだと思う。
ボクも誰かにとってのチェホンマンになれたら…
最近はそんなことを思いながらブログを書いています。