「雪の上をバイクで走るのは危ないから絶対にやめたほうがいい」
…と僕は思っている。
というのも、かつて新聞配達のバイトを4年間していたとき、大雪の中バイクに乗った経験が何度かあるからだ。
新聞配達をやったことがある人は分かると思うが、台風がこようが大雪が降ろうが新聞配達員に休みはない。
どんなに危険だろうが新聞配達員に拒否権はなかった。
ということで今回は
雪の日のバイク走行がどれほど危険なのか?
という話をしていく。
雪の日にバイクに乗るのは危ない
雪の日にバイクで新聞配達をするのはホントに嫌だった。
必ずコケるからだ。
同じ配達所で働いていた、いい年したおっさんたちも
「怖いなぁ」
「行きたくないよぅ」
と乙女のような弱音ばかり吐いていた。
雪上をバイクで走るときは、自転車が走るぐらいの速度でノロノロと走る。
にもかかわらず、一回の配達で2,3回は必ず転んでしまう。
スピードが出てない上に厚着をしているので、基本的にケガをすることはない。
ただバイクの後ろに乗せた新聞が地面にズルズルと崩れおち、それを拾ってまた縛り付けるのが大変だった。
幸いボクの配達地域は車がほぼ通らず、おまけに深夜遅くに配達するため、転んでも後ろからきた車にひかれる事はない。
だがこれがもし車のガンガン通る場所や時間帯だったらどうなるだろうか?
後ろから来た車にはねられ、あの世へ旅立つことになるかもしれない。
雪の日のバイク走行は自分が危険なだけでなく、周りにも迷惑をかけてしまう危険があるため、絶対に避けたほうがいい。
ただ新聞配達は雪の日だろうがなくなることはなかった。
代わりに配達する人間が存在しないため、休むこともできない。
これは全国どこでも変わらないようだ。
雪の上をバイクで走るとき絶対にやってはいけないこと
雪の上をバイクで走っている時、絶対にやってはいけないのが『前輪ブレーキ』だ。
ほんの少しでもかけようものならほぼ100%コケる。
どんなに速度を落としてトロトロ走っていようが関係ない。
とはいえ、たいていのバイク乗りは止まるときに前輪ブレーキを使うのが習慣になっている。
頭の中でいくら後輪ブレーキだけを使おうと意識しても、とっさの判断が求められる運転中には、どうしても前輪ブレーキを握ってしまう。
これは一朝一夕で解決できる問題ではない。
つまり雪の日にバイクで走ったらほぼ100%転倒するワケだ。
雪上でバイクを上り坂に停めると…
雪の日のバイクでもう一つやってはいけないのが、上り坂にバイクを停めることだ。
というのも停めた場所から発進できなくなるから。
「このぐらいなら大丈夫だろ?」
と思うようなゆるい坂でも、いったん停めてしまうとタイヤが空回りして発進できなくなってしまう。
信号待ちでも上り坂で止まるのはNGである。
雪の日のバイクはチェーンをしても無駄
雪が降ると、配達所のリーダー的おっさんである「中谷さん」がチェーンを装着してくれた。
中谷さんというのは口笛でよくアンパンマンマーチを奏でながら配達所にやってくる陽気なおっさんだ。
だが実際はチェーンも気休めにしかならない。
装着したところでいくらでも転倒する。
車ならチェーンをつければ一定の効果があるのだろうが、タイヤが2つしかないバイクの場合はあまり効果を感じられなかった。
くだり坂の怖さは絶叫マシンの比じゃない
平地での走行は車がいない場所なら慣れればそこまで怖くない。
スピードを出していなければ転んだところでケガはなく、ちょっと面倒が生じるぐらいのものだ。
ただし下り坂は尋常じゃないぐらい怖い。
配達エリアに行く途中に傾斜のキツイ坂があったのだが、そこを通るのがホントに怖かった。
(自転車だとほとんどの人が押して歩くような急坂。しかも長い)
ノロノロ速度で走ろうにも下り坂では強制的に加速してしまい、そのスピードは時速30km程度まで上がる。
怖気づいて前輪ブレーキを握ろうものならその瞬間バイクは転倒し、時速30kmでバイクごと転げ落ちることになるだろう。
ジェットコースターなら安全が保障されているが、雪上を走るバイクには安全の保障がない。
命がけのような感覚だった。
「命をかけて仕事をする」
といえば聞こえはいいが、命をかけて届けるものは新聞という、たかが紙切れである。
雪の日は新聞配達以外にも…
新聞配達のほかには郵便配達も雪の日に配達をしなければいけないらしい。
車がいない深夜とちがい、昼間の交通量が多い場所を走るのだから、恐怖感や危険性はかなりのモノだろう。
そういえばボクの働いていた配達所で、
「雪の上をバイクで走るのは怖いから車で配る」
と言って車での配達を試みようとした人もいるが、時間がかかりすぎて結局ほかの社員もその地域を手伝うことになった。
車で新聞を配るというのは時間の問題でやはり難しいようだ。
以上のように雪の日のバイク走行はとても危険なため、
「配達業務でどうしても使わざるを得ない」
という人以外は絶対に乗らないようにしよう。