ここ最近は統一教会騒ぎの影響なのか「マインドコントロール」という言葉をよく目にするようになった。
マインドコントロールをカルト教団の専売特許のように思ってる人も多いようだが、身近な場面でもマインドコントロール的な手法は腐るほど使われている。
そこで今回は身近で使われているマインドコントロールのやり方や簡単に洗脳されやすい人の特徴について書いていく。
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マインドコントロールのやり方
マインドコントロールのやり方は以下の7つが代表的である。
- 仮想敵を作る
- 二項対立の物語を聞かせる
- 脳を疲れさせる
- 閉鎖的空間に閉じ込める
- 恐怖心を煽る
- 弱者の味方(のフリ)をする
- 真実と虚実を混ぜる
仮想敵を作る
マインドコントロールのやり方として大事なのはまず仮想敵を作ることである。
過去にはナチスもこの方法を使っており、ユダヤ人を仮想敵に見立てることで群衆の一致団結を図った。
「資本家=善良な弱者から搾取してる悪党」という単純なイメージを作り上げ、金持ちや権力者を敵として設定するのもよくあるパターンだ。
政権与党を引きずり下ろしたい野党勢力の常套手段なので、ネットやテレビで目にする機会も多いだろう。
ポイントとしては
- 社会的に高い地位にいる
- 恵まれてるように見える
- 自分から遠い存在である
といった要素を持つ対象を敵として設定するのが効果的である。
くわえて言えば敵を実物よりもあえて巨大に見せる誇張もよく使われる。
たとえばナチスでは、少数部族であるユダヤ人を実際よりも巨大な悪に見せることでドイツ人同士の結束を深めた。
日本でもつい最近、信者数2万~10万程度の小さな教団が得票数2,000万超えの政権与党を裏で操作してるという陰謀論が流行っていた。
こんな荒唐無稽なフィクションを本気で信じてしまう大人が大量にいる現実のほうが僕には恐ろしいのだが……
(※普通に考えれば反共で利害一致する両者が互いに都合よく利用しただけの話だろう)
二項対立形式の物語を聞かせる
一般的に人は成長するにつれ、白と黒の中間にある様々な考えを理解できるようになる。
この能力を認知心理学では認知的成熟度と呼ぶ。
認知的成熟度が上がれば
「Aという観点から見るとX案は優れているが、Bという観点から見るとリスクが大きい」
という感じで、一つの物事を様々な角度から総合的に評価できるようになるのだ。
だが“カルト的な何か”にハマりやすい人は認知的成熟度が低いことが多い。
そうした人たちには「敵/味方」「善/悪」といった単純明快な二項対立図式が好まれる。
絶対的な正義のヒーローが悪党を成敗する勧善懲悪のストーリーが大好きなのだ。
彼らからすると白とも黒とも言えないグレーな意見はウケが悪く、
「あいつの言ってることはすべて間違ってる」
「敵を少しでも擁護するやつは敵の仲間だ」
というような単純でハッキリした主張のほうがウケがいいのである。
Twitter界を見ても「敵/味方」という二項対立的な発言をするインフルエンサーほど、多くの信者に囲まれているように見受けられる。
脳を疲れさせる
脳は疲れると次第に主体的な判断力や思考力を失っていく。
カルト集団はこの仕組みを利用した巧みなマインドコントロールをする。
たとえば
- 録音したテープを朝から晩まで流し続ける
- 騒音や光を浴びせるなどして眠らせない
- 食事を満足に取らせない
などといった方法でターゲットの脳を慢性疲労状態にする。
そして疲弊した脳にすかさず大量の情報を浴びせる。
疲労がたまり思考力を失った人間は情報の取捨選択ができなくなり、浴びせられた情報を抵抗なく受け入れてしまう。
強引なセールスマンに延々と営業トークをされて脳が疲れてしまい、たいして欲しくない商品を買わされるケースも仕組みはこれに近い。
閉鎖的空間に閉じ込める
閉鎖的空間に閉じ込めるのも伝統的なマインドコントロールのやり方だ。
オウムが外界から隔離されたサティアンという施設に信者を住ませたように、カルト的集団は外部の人と接触できない閉鎖空間に信者を閉じ込めることが多い。
単調な修行以外何もできなくしたり、外部の人間とのコミュニケーションを禁じたりすることで、信者の判断力を奪うのである。
この閉鎖空間は物理的な空間でなくても同じような効果を発揮する。
Twitterやヤフコメといったネット空間でも同じ現象が起こるのだ。
たとえばTwitterでは基本的に価値観の合う人間しかフォローしないため、目に入ってくるのは自分と似たような価値観の主張ばかりになる。
ヤフコメに関してはもはやコメント欄全体が悪臭を放つゴミ溜めと化しているため、嗅覚の壊れている者以外は書き込まないのが現状と言えよう。
つまりどちらも形式上は一応開かれているが、実態は閉鎖空間とほとんど変わらない。
似た者同士のコメントが反響する特殊空間にどっぷり浸っているちに、自分たちの考えが“善良な市民の総意”だと勘違いしてしまうのである。
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恐怖心を煽る
マインドコントロールのやり方として恐怖心を煽るというのも有効なテクニックだ。
カルト的な宗教でいえば
「信じなければ地獄に落ちるぞ」
といった脅しがもっともポピュラーだろう。
この手の脅しはビジネスの世界でもよく使われる。
たとえば
- 日本人の〇割は口臭があります
- 女性の○割はハゲを嫌っているというアンケート結果が出ました
- 一重まぶたは目付きが悪いと思われがちです
などと煽って商品購入を促すテクニックは恐怖心を利用したマインドコントロールの一種といえる。
※一重まぶたフェチの筆者としては3つ目の煽りがもっとも許せない。目がデカいほうがカワイイという風潮は美容業界がグルになって布教しているだけで実際には小さい目が好きな男はかなりいるハズだ。知らんけど
また昨今のコロナ騒動では各メディアが必要以上に恐怖心を煽った。
煽ったほうが数字が取れるからである。
その被害規模を考えれば、統一教会なんぞ比べ物にならないほどタチが悪い。
弱者の味方(のフリ)をする
カルト集団がまず目をつけるのは精神的に満たされていない者である。
たとえば
- 上京したばかりで知り合いがいない
- 気の合う友人がいない
- 集団から浮いていて居場所がない
というように社会から孤立した者にそれとなく近づき、あたかも良き理解者であるかのように演じる。
「つらいよね、分かるよ」
「私だけは味方だよ」
「君はなにも悪くない。悪いのは社会の仕組みなんだよ」
そんな甘い言葉をかけて心を開かせるのだ。
居場所がなく愛に飢えている人間にとって、このように自分を認めてくれる人物は大事な存在となる。
ひとたび“大事な存在”になってしまえば
「自分の存在価値を認めてくれた優しい人間が悪いはずがない」
という感情が理性の目を曇らせる。
心の底では薄々おかしいと感じていても、優しくされたときの記憶が冷静な判断を妨げるのだ。
現在、日本は空前の弱者ビジネスブームである。
カルト集団が使っていた勧誘テクニックは、そのままビジネスマンのセールス・テクニックとして使われるようになった。
やさしい言葉を巧みに操ることでターゲットの良き理解者を演じ、商品購入やオンラインサロンへの勧誘へとつなげる、という一連の流れがもはや常套手段となりつつあるのだ。
こうした弱者ビジネスについては以下の記事でも語ったのでこの辺にしておこう。
真実と虚実を混ぜる
いかにおかしな教義を掲げるカルト集団でも何から何までウソで固められているワケではない。
そこには真実と虚実が絶妙なバランスで混ざっている。
しかもその真実の中には“一般的に虚実と思われているが真実であるもの”も一部含まれているのが厄介なところだ。
たとえば統一教会にしても世間がイメージしてるほどデタラメばかりな教団ではない。
かつて東大にあった原理研(統一教会系列のサークル)には、金沢大教授の仲正昌樹氏をはじめとした博識で優秀な頭脳を持つ人間も数多く存在した。
オウムの信者に高学歴が多かったように、統一教会も学年でトップクラスに入るようなインテリが多数所属していたのだ。
もし統一教会の教えが1から10までデタラメばかりであれば、そんな優秀な人たちを惹きつけるのは不可能だろう。
(ちなみに信者といっても信仰の深さはピンキリであり、仲正氏のようにもともと信仰心の薄い者も少なくない)
これはコロナ禍でデマを広げている集団にしても同じことが言える。
なぜ彼らがデマを信じてしまうかと言えば、デマと一緒に事実も混ぜられているからである。
しかも彼らを鏡で反転させたような人たちが事実までひっくるめて全否定してしまうものだから、なおさら彼らはヒートアップしてしまうのだ。
(統一教会騒ぎでも同じことが起こっている)
洗脳されやすい人の特徴
洗脳されやすい人の特徴はおおむね以下の通りである。
- メディアの発信を鵜呑みにしてしまう
- 灰色を認識できない
- ヤフコメなどのネット世論に共感することが多い
- 正義感が強い
- 生真面目すぎる
- 現実世界に居場所がない
- 現状に不満を感じている
最近の話題でいえば、統一協会叩きに必死になっていた人ほど洗脳されやすいタイプであるように僕には思える。
というよりすでにメディアの洗脳に半ばかかってる状態なんじゃないだろうか。
以下は統一教会を糾弾している者たちの多くに見られた特徴だ。
- 活動家や野党勢力の主張をそのまま受け入れてしまう純粋さ
- 中立的な意見を述べた者まで敵とみなす「敵/味方」の二分法的思考
- 敵と見なしたものに対する攻撃性
- 正義を信じて疑わない危うさ
- 多角的な視点の欠如
これらは洗脳されやすい人の特徴であると同時に、その特徴自体がまさに“カルト的”である。
統一教会に対するメディアの報じ方やSNSの反応の中には、どっちがカルトなのか分からなくなるような言動が少なくなかった。
カルト的集団は身近にあふれている
もう一度マインドコントロールのやり方をおさらいしよう。
- 仮想敵を作る
- 二項対立形式の物語を聞かせる
- 脳を疲れさせる
- 閉鎖的空間に閉じ込める
- 恐怖心を煽る
- 弱者の味方(のフリ)をする
- 真実と虚実を混ぜる
マインドコントロールやカルトなんて自分には関係ないどこか遠い世界の話だと思ってる人間は多い。
だが上記のマインドコントロール手法を使っている“カルト的集団”は身近なところにも多数存在する。
身近なカルト的集団は表面上は宗教という形式をとっておらず、いわば正体を隠した布教活動をしているから目立たないだけである。
代表的な例をあげると
- ワイドショー
- ネットメディア、週刊誌
- 政治団体
- インフルエンサー
- セールスマン
などは全く同じマインドコントロールのやり方で顧客や支持者を集めているケースが多い。
とくに統一教会の糾弾に張り切っていた活動家およびインフルエンサーには同じ穴のムジナが少なくなかったように思える。
たとえばH氏とかA氏とか。。
コロナ関連の新興宗教
ここ最近ではコロナ関連の新興宗教も次々に現れた。
これらのカルト的集団は一見真逆の主張をしていても、根本的な思考回路は似通っていることが多い。
たとえば
- 都合のいいデータ以外見ない
- 特定のリスクを過大評価している
- 簡単に断定できないはずの因果関係を簡単に断定してしまう
- 全面肯定か全面否定の極端しかない
- 365日飽きることなく同じ敵と不毛な戦いを続けている
という具合に、表立った主張は対立関係にあってもその本質はよく似ているのだ。
まるで表面上は対立関係にありながら根本的構造ではそっくりであるマルクス主義とキリスト教のように。
インフルエンサーと信者
一定以上のフォロワーを抱えたインフルエンサーになると、発信者と受け手が教祖と信者のような関係になっているケースが少なくない。
第三者から見ればどれほどイカれた発言であっても、信者たちの好意的解釈によって教祖様のまわりは称賛で埋めつくされる。
教祖様が誰かを批判すると、周りのコバンザメたちも追従するようにその対象を集中放火する。
まさに“カルト的”な光景といえよう。
似た者同士が共鳴し結束してしまうTwitterはいまやカルト的集団の巣窟となっている。
その数の多さや影響の及ぶ範囲を考えると、20年以上前にピークを迎えてとっくに弱体化した統一教会などよりはるかに害悪で恐ろしいものに見えるのだが……
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